WordPressを更新しているのに安心できない?PHP2Shellから考えるWebサイトのセキュリティ管理

企業のWebサイトを運用していると、「WordPressは最新版にしているから大丈夫」と考えてしまうことがあります。

もちろん、WordPress本体やプラグインを定期的に更新することは、セキュリティ対策の基本です。

ただ、それだけでWebサイト全体の安全性を確保できるかというと、必ずしもそうではありません。

2026年10月に修正されたPHPの重大な脆弱性「PHP2Shell」は、そのことを改めて考えさせられる問題でした。

今回はPHP2Shellをきっかけに、普段のWebサイト運用で見落としやすいセキュリティ管理について考えてみたいと思います。

WordPressの裏側で動いているPHP

WordPressでWebサイトを運用していると、日常的に触れるのは管理画面です。

記事の投稿、画像のアップロード、プラグインの更新など、ほとんどの作業は管理画面から完結します。

一方、その裏側ではPHPというプログラミング言語が動いています。

PHPは、WordPressだけでなく、ECサイトや会員サイト、独自の業務システムなど、さまざまなWebアプリケーションで利用されています。

普段は意識する機会が少ないかもしれませんが、PHPはWebサイトを動かすための重要な技術の一つです。

つまり、WordPress自体に問題がなくても、PHPの実行環境に脆弱性があれば、Webサイトのセキュリティに影響する可能性があります。

PHP2Shellとはどのような問題なのか

2026年10月21日、PHPの内部処理に関する2件の重大な脆弱性が修正されました。

「PHP2Shell」と呼ばれるこれらの問題には、次の識別番号が付けられています。

  • CVE-2026-109618

  • CVE-2026-109619

いずれもPHP内部のメモリや状態管理に関係する問題で、条件によってはリモートコード実行(RCE)につながる可能性があります。

リモートコード実行とは、攻撃者がネットワーク越しに対象システム上でコードを実行できてしまうことです。

悪用された場合、Webサイトの改ざんや情報の窃取、不正なプログラムの実行などにつながるおそれがあります。

ただし、PHPを利用しているすべてのWebサイトで、同じように攻撃が成立するわけではありません。影響はPHPのバージョンや実行環境、システム構成などによって異なります。

今回の問題で注目したいのは、脆弱性がWebアプリケーションそのものではなく、PHPの実行環境に存在するという点です。

WordPressのプラグインをすべて最新版にしていても、PHP側に必要な修正が適用されていなければ、対応が完了したとはいえません。

意外と曖昧になりやすい「誰が管理しているのか」

企業サイトの運用では、複数の担当者や外部企業が関わっていることがあります。

例えば、次のような体制です。

  • マーケティング担当者:記事やページの更新

  • Web制作会社:デザインやWordPressの保守

  • サーバー管理会社:インフラやPHPの管理

  • 社内IT担当者:セキュリティやシステム全体の管理

こうした役割分担自体は珍しくありません。

問題になるのは、それぞれの管理範囲が明確になっていない場合です。

WordPressの更新は制作会社が担当していても、PHPの更新は契約範囲外かもしれません。

サーバー管理会社はPHPの修正を提供していても、実際に適用するかどうかは利用者側の判断になっている場合もあります。

その結果、誰も対応していない部分が残ってしまう可能性があります。

セキュリティ対策では、技術的な問題だけでなく、管理責任の所在を明確にすることも重要なのだと思います。

古いPHPを使い続けてしまう理由

PHPの更新が必要だと分かっていても、すぐに対応できないケースがあります。

その理由の一つが、既存システムとの互換性です。

長年運用しているWebサイトでは、古いテーマやプラグイン、独自開発の機能などが利用されていることがあります。

PHPを新しいバージョンに変更すると、一部の機能が正常に動作しなくなる可能性があるため、更新を後回しにしてしまうことも考えられます。

特に、社内で開発当時の仕様を把握している人がいない場合、変更の影響を判断すること自体が難しくなります。

しかし、古い環境を維持し続けることにもリスクがあります。

PHP Projectによる通常サポートが終了したバージョンでは、公式のセキュリティ修正を継続して受けられません。ただし、OSや製品ベンダーが独自に修正を提供している場合もあるため、実際のサポート状況を確認する必要があります。

「更新すると不具合が起きるかもしれない」という懸念と、「更新しないことで脆弱性が残る」というリスク。

この両方を考えながら、計画的に対応していく必要があります。

PHP2Shellをきっかけに確認しておきたいこと

今回のような脆弱性が発表されたとき、企業のWebサイト担当者がすべての技術的な詳細を理解する必要はないと思います。

ただし、管理者や外部委託先に確認すべきポイントは把握しておきたいところです。

PHPのバージョンと修正状況

まず、WebサイトがどのPHPバージョンで動いているのかを確認します。

PHP2Shellについては、2026年10月21日にPHP 8.5.12、8.4.27、8.3.36、8.2.35が修正版として公開されています。

ただし、Linuxディストリビューションなどではセキュリティ修正が既存バージョンにバックポートされる場合もあります。

単純にバージョン番号だけで判断せず、利用中のサーバーやホスティングサービスの情報も確認することが重要です。

更新による影響

PHPを更新する場合は、WordPress本体やプラグイン、独自機能との互換性を確認する必要があります。

本番サイトでいきなり変更するのではなく、可能であれば検証環境で動作確認を行い、バックアップや復旧手順も準備しておきたいところです。

不審なアクセスの有無

修正を適用した後も、必要に応じてアクセスログやエラーログなどを確認することが重要です。

脆弱性を修正することと、過去に侵害されていないことを確認することは別の作業だからです。

特に顧客情報を扱うWebサイトや、外部公開されている業務システムでは、こうした確認も検討する必要があります。

セキュリティ対策は「更新したら終わり」ではない

今回のPHP2Shellに限らず、Webサイトのセキュリティ対策は、一度実施すれば終わるものではありません。

WordPress、PHP、Webサーバー、OSなど、それぞれの技術には更新や保守が必要です。

また、脆弱性が見つかったときに、どのシステムが影響を受けるのかをすぐに把握できる状態にしておくことも大切です。

例えば、次のような情報が整理されているだけでも、対応しやすくなります。

  • 運用しているWebサイト・システムの一覧

  • 利用しているPHPや主要ソフトウェアのバージョン

  • サーバーやアプリケーションの管理担当者

  • 更新・バックアップの手順

  • 緊急時の連絡先

こうした基本的な情報は、普段の業務では後回しになりがちです。

しかし、重大な脆弱性が公表されたときには、対応の速さを左右する重要な要素になります。

PHP2Shellの技術的な詳細を確認するには

PHP2Shellについて、影響を受ける実行環境や修正済みバージョン、企業が実施すべき対策を詳しく確認したい場合は、SotaTek Japanの解説記事も参考になります。

SotaTek JapanはWebアプリケーションのセキュリティ対策や脆弱性診断などを支援しており、今回のPHP2Shellについても、技術的な背景から企業向けの対応方法まで整理しています。

参考:PHPの重大脆弱性「PHP2Shell」とは?日本企業への影響と今すぐ実施すべきセキュリティ対策|SotaTek Japan

おわりに

Webサイトのセキュリティというと、不正ログインやプラグインの脆弱性などを思い浮かべることが多いかもしれません。

しかし、今回のPHP2Shellは、Webサイトを動かす実行環境そのものにも目を向ける必要があることを示しています。

WordPressを更新しているかどうかだけでなく、PHPの修正状況を把握できているか、誰がサーバーを管理しているか、緊急時にどのように対応するか。

こうした点を整理しておくことが、日々の安全なWebサイト運用につながるのではないでしょうか。

ベトナムのAI開発会社が気になる。日本企業がパートナーを選ぶときに考えたいこと


最近、生成AIやAIエージェントについて調べていると、AIの活用方法だけでなく、「誰と開発するか」という話題も気になるようになりました。

ChatGPTのようなツールを日常業務で使うだけなら、比較的簡単に始められます。しかし、社内データを活用したAI検索や、既存システムと連携するAIエージェントを導入しようとすると、話は少し変わってきます。

AIの知識だけでなく、データ基盤やクラウド、システム開発など、幅広い技術が必要になるからです。

そこで選択肢の一つになるのが、海外のAI開発会社との連携です。

特にベトナムは、日本企業とのソフトウェア開発で長年の実績があり、最近では生成AIやAIエージェントの開発にも取り組む企業が増えています。

今回は、ベトナムのAI開発会社について調べながら、開発パートナーを選ぶ際に気になったことをまとめてみます。

ベトナムは、もはや「オフショア開発」だけではない?

ベトナムと聞くと、まずオフショア開発を思い浮かべる人も多いかもしれません。

以前は、開発コストやエンジニアの確保を目的として、Webサイトや業務システムの開発を委託するイメージが強かったように思います。

ただ、最近のベトナムのIT企業を見ていると、取り組んでいる領域がかなり広がっていることに気づきます。

生成AI、機械学習、コンピュータービジョン、音声認識、AIエージェントなど、AI関連の技術開発もその一つです。

AWSが2025年に発表した調査によると、ベトナムでは約17万社がAIを導入しており、企業全体の18%に相当するそうです。

もちろん、AIを導入している企業が増えたからといって、すべての企業が高度なAI開発を行っているわけではありません。

それでも、ベトナム国内でもAI活用が広がっていることは、興味深い変化だと感じます。

AI開発会社を選ぶのは、普通のシステム開発より難しい?

AI開発会社を比較するとき、少し難しいと感じるのが「AI開発」という言葉の幅広さです。

例えば、同じAI開発でも、

  • ChatGPT APIを利用したアプリケーション

  • 社内文書を検索するRAGシステム

  • 画像から異常を検知するAI

  • 需要予測のための機械学習モデル

  • 複数の業務を自動化するAIエージェント

では、必要な技術がかなり異なります。

そのため、単に「AI開発に対応している会社」というだけでは、自社に合っているか判断しにくいところがあります。

特に企業向けAIでは、モデルそのものの性能だけでなく、既存システムとの連携やデータ管理も重要です。

例えば、社内文書を検索するAIを作る場合、回答精度が高くても、閲覧権限のない文書まで検索できてしまっては困ります。

AIの技術力だけでなく、実際の業務システムとして安全に使えるものを開発できるか。

この視点は、開発会社を比較する際に欠かせないと思います。

ベトナムにはどんなAI企業があるのか

実際に調べてみると、ベトナムにはさまざまなタイプのAI・IT企業があります。

FPT Softwareは、グローバル企業向けのソフトウェア開発やDX支援で知られています。

CMC Corporationは、AIやデータ、クラウド、サイバーセキュリティなど、幅広いIT領域を扱っています。

Viettelは通信・デジタルインフラを基盤にAI関連技術にも取り組んでおり、VinAIはコンピュータービジョンなどのAI研究開発で知られています。

そして、日本企業とのAI開発という観点で気になったのが、SotaTek Japanです。

SotaTekはベトナムを拠点とするテクノロジー企業で、生成AIやAIエージェントだけでなく、ソフトウェア開発やクラウド、既存システムとの連携にも対応しています。

また、企業向けAIエージェントプラットフォーム「SotaAgents」、AI議事録ツール「NoteX」、リアルタイムAI音声翻訳サービス「Saydi」など、自社AIプロダクトも展開しています。

AI技術を使ったアプリケーションを開発するだけでなく、実際の業務で利用するためのシステム構築まで対応している点は、開発パートナーを考えるうえで参考になりそうです。

こうして見てみると、同じベトナムのAI企業でも、研究開発に強い会社、ITインフラに強い会社、企業向けのAIシステム開発に対応する会社など、それぞれ特徴が異なることが分かります。

開発会社の規模よりも、何を実現したいかが大切

企業を比較していて感じるのは、必ずしも規模の大きな会社が、自社にとって最適なパートナーになるとは限らないということです。

例えば、AIの研究開発を進めたい企業と、社内の問い合わせ対応を自動化したい企業では、必要なパートナーが異なります。

また、PoCだけを依頼したいのか、その後の本番導入や運用まで任せたいのかによっても、選び方は変わってきます。

個人的には、開発会社に相談する前に、少なくとも次の3つは整理しておきたいところです。

何を改善したいのか。

AI導入そのものではなく、解決したい業務課題を明確にすること。

どのようなデータやシステムを使うのか。

社内文書、顧客データ、既存システムなど、AIが利用する情報を把握すること。

どこまで開発を任せたいのか。

PoCだけなのか、本番導入や運用・改善まで含めるのかを考えること。

この3つがある程度整理できていれば、開発会社からの提案も比較しやすくなるはずです。

海外企業との開発だからこそ、コミュニケーションも重要

もう一つ気になるのが、海外企業とのコミュニケーションです。

AI開発では、実際に試してみないと分からない部分もあります。

例えば、PoCを進めた結果、想定していた精度が出なかったり、必要なデータが不足していたりすることも考えられます。

そんなときに、課題を共有しながら開発方針を調整できるかどうかは重要です。

日本語でのコミュニケーションに対応しているか、日本企業との開発経験があるか、仕様変更や品質管理をどのように進めるか。

技術力と同じくらい、こうした部分も確認しておきたいと思います。

ベトナムのAI企業をもう少し詳しく調べてみる

今回いくつかの企業を見てみましたが、ベトナムのAI開発会社といっても、得意分野やサービス内容はさまざまです。

そのため、最初から一社に絞るより、複数の企業を比較しながら、自社の目的に合うパートナーを探すほうがよさそうです。

SotaTek Japanの公式ブログでは、SotaTekをはじめ、FPT Software、CMC Corporation、Viettel、VinAIなど、ベトナムのAI関連企業の特徴や、開発会社を選ぶ際のポイントがまとめられています。

▶ ベトナムのAI企業・AI開発会社|主要企業の特徴と選び方

これからベトナム企業へのAI開発委託を検討する場合、最初の情報収集として参考になると思います。

おわりに

AI技術が急速に進化する中、企業が必要な技術や人材をすべて自社で確保することは、必ずしも簡単ではありません。

その意味で、ベトナムのAI開発会社との連携は、日本企業にとって検討する価値のある選択肢の一つだと思います。

ただし、重要なのは「ベトナムだから」「開発費用が安いから」という理由だけで選ばないこと。

どのようなAIを、何のために、どこまで開発したいのか。

その目的に合ったパートナーを見つけることが、AI開発を進めるうえで大切なのではないでしょうか。

日本のAI市場が急拡大。中小企業はAI導入にどう向き合うべきか?

日本のAI市場が急速に成長しています。

IDC Japanの調査によると、国内AI市場の支出額は2025年の2兆3,725億円から、2029年には6兆8,897億円に拡大すると予測されています。

約4年間で2.9倍という成長率を見ると、AIが今後の企業活動において重要な技術になることは間違いなさそうです。

ただ、こうしたニュースを見るたびに気になるのが、「中小企業はこの変化にどう対応すればいいのか?」という点です。

大企業のように多額のIT予算や専門人材を確保できなくても、AIを活用することはできるのでしょうか。

今回は、日本のAI市場の動向を踏まえながら、中小企業がAI導入を考える際のポイントを整理してみます。

AI市場の成長と企業の導入状況には差がある

日本のAI市場は拡大していますが、すべての企業でAI活用が進んでいるわけではありません。

総務省「令和7年版情報通信白書」によると、生成AIの活用方針を策定している企業は全体で49.7%です。

大企業では約56%に達する一方、中小企業では約34%にとどまっています。

もちろん、企業規模によって業務内容やIT投資の優先順位は異なります。

それでも、中小企業にはAI導入を進める余地がまだ大きく残されていると考えられます。

中小企業こそAIを活用するメリットがある?

日本企業が直面している課題の一つが、人手不足です。

特に中小企業では、限られた人数で営業、経理、顧客対応、管理業務などを担当するケースも珍しくありません。

こうした環境では、AIを活用して日常業務の負担を減らすことに意味があります。

例えば、

  • 問い合わせメールの下書き作成

  • 会議内容の文字起こし・要約

  • 社内マニュアルの検索

  • 営業資料の作成補助

  • 定型的なデータ整理

などは、比較的小さな範囲から試しやすい業務です。

重要なのは、最初から大規模なAIシステムを構築する必要はないということです。

「とりあえずChatGPT」から一歩進める

AI導入というと、まずChatGPTなどの生成AIツールを使い始める企業も多いと思います。

もちろん、それ自体は有効な第一歩です。

ただし、企業としてAIの効果を高めるためには、個人の利用だけで終わらせないことも重要です。

例えば、社員がそれぞれAIで文章を作成していても、業務フロー全体が改善されるとは限りません。

一方、社内FAQへの回答や議事録作成など、共通の業務にAIを組み込めば、組織全体で効果を共有しやすくなります。

つまり、「AIを使える人を増やす」ことと「AIで業務を改善する」ことは、分けて考える必要があるのではないでしょうか。

AI導入は小さな成功体験から

中小企業がAIを導入する際には、最初から複雑なシステムを構築するより、効果を測定しやすい業務を選ぶほうが現実的です。

例えば、毎週の会議で議事録作成に多くの時間がかかっている場合、AI議事録ツールを試してみる。

社内から同じ質問が繰り返し寄せられる場合は、FAQやマニュアルを検索できるAIを検討する。

このように、具体的な課題から始めることで、導入前後の違いを確認しやすくなります。

効果が見えてきた段階で、対象部署や業務を少しずつ広げていく方法も考えられます。

今後はAIエージェントにも注目

生成AIに続いて、企業向けAIの分野で注目されているのがAIエージェントです。

従来の生成AIは、質問への回答や文章作成が中心でした。

一方、AIエージェントは、必要な情報を取得し、外部ツールやシステムと連携しながら、複数のタスクを実行できる仕組みです。

例えば、営業情報の整理、社内データの検索、レポート作成などを組み合わせた業務支援が考えられます。

もちろん、すべての企業がすぐにAIエージェントを導入すべきというわけではありません。

まずは自社の業務を整理し、どこまで自動化する必要があるのかを判断することが重要です。

日本のAI市場の成長をどう捉えるか

日本のAI市場が拡大していることは、AI関連サービスや技術への投資が増えていることを意味します。

しかし、企業にとって本当に重要なのは、市場規模の大きさではありません。

AIを活用することで、自社のどの課題を解決できるのか。

この視点を持つことが、AI導入を検討する第一歩になると思います。

SotaTek Japanでは、日本のAI市場規模や成長率、企業のAI導入状況、今後注目される技術について詳しくまとめています。

市場全体の動向を把握したい方は、こちらの記事も参考になります。

▶ 【最新版】日本のAI市場規模:市場動向・成長率・企業のAI活用を徹底解説

AI導入は、大企業だけの取り組みではありません。

自社の課題に合った小さな活用から始めることが、中小企業にとっても現実的な選択肢になりそうです。

ChatGPTだけじゃない。仕事で使えるAIを「用途別」に整理してみた

仕事でAIを使うと聞くと、まずChatGPTを思い浮かべる人は多いと思います。

ただ、最近AIツールを調べていると、「生成AI=ChatGPT」という状況からかなり変わってきていると感じます。

文章を書くAIだけでなく、情報を調べるAI、会議を記録するAI、リアルタイムで翻訳するAI、資料を作るAI、さらに業務そのものを実行するAIエージェントまで登場しています。

そこで今回は、「どのAIが一番優れているか」ではなく、仕事のどこでAIを使えるのか?という視点から整理してみます。

1. 「書く」を助けるAI

最も身近なのが、文章生成を得意とするAIです。

メール、企画書、記事、SNS投稿など、仕事では意外と「文章を書く時間」が多くあります。

生成AIを使えば、ゼロから文章を作るだけでなく、

  • 下書きを作る
  • 長い文章を短くする
  • 表現を整える
  • アイデアを出す
  • 翻訳する

といった作業も効率化できます。

個人的には、完成した文章をそのまま使うというより、最初のたたき台を作る用途との相性がいいと感じます。

2. 「調べる」を助けるAI

次はリサーチです。

従来は検索エンジンで複数のページを開いて情報を探していましたが、最近では質問に対してWeb上の情報を調査・整理してくれるAIサービスも増えています。

例えば、

「この業界の最近のトレンドを知りたい」

「競合サービスを比較したい」

「この技術について概要を理解したい」

といった初期調査ではかなり便利です。

もちろんAIの回答だけを信頼するのではなく、重要な情報は一次情報まで確認する必要があります。

3. 「会議する」を助けるAI

会議にもAIが入り始めています。

会議中の音声を認識して、

録音 → 文字起こし → 要約 → ToDo整理

まで自動化できるAIツールがあります。

例えば、NoteXのようなAIミーティングツールでは、会議内容を記録するだけでなく、後から必要な情報を確認・活用することもできます。

「会議が終わってから議事録を作る」という作業自体を減らせるのは、AIの分かりやすい活用例の一つだと思います。

4. 「伝える」を助けるAI

海外との仕事では、言語の壁もAIで小さくなりつつあります。

テキストを翻訳するだけなら以前からありましたが、現在は音声をリアルタイムで認識して別の言語へ翻訳するAIも登場しています。

例えばSaydiのようなリアルタイムAI音声翻訳を使えば、海外メンバーとの会議やイベントなどで、話している内容をその場で翻訳できます。

「翻訳してから伝える」のではなく、コミュニケーションそのものをAIが支援する方向へ進んでいるのが面白いところです。

5. 「作る」を助けるAI

AIが作れるものも文章だけではありません。

現在では、

  • プレゼンテーション
  • 画像
  • 動画
  • 図解
  • デザイン案

なども生成できます。

特に資料作成では、「内容は決まっているけれど、見せ方を考えるのに時間がかかる」という場面があります。

AIに構成やビジュアルのベースを作ってもらい、人が調整するという使い方なら、制作時間を短縮しやすそうです。

6. 「仕事そのもの」を進めるAI

そして最近特に気になるのが、AIエージェントです。

これまでの生成AIは、人が質問するとAIが回答する使い方が中心でした。

AIエージェントでは、それより一歩進んで、

目的を受け取る
↓
必要な情報を探す
↓
判断する
↓
ツールやシステムを操作する
↓
タスクを実行する

といった流れをAIが担当します。

例えば、SotaAgentsのような企業向けAIエージェントでは、社内ナレッジや業務システムとAIを接続し、より複雑な業務フローへの活用を目指しています。

AIが「作業を手伝う存在」から「業務を進める存在」へ変わっているのは、今後注目したいポイントです。

AIツールを見るときは「何ができるか」から考える

こうして用途別に整理してみると、すべての仕事を一つのAIでカバーする必要はないことが分かります。

書く → 生成AI

調べる → AI検索・リサーチ

会議する → AI議事録

伝える → AI翻訳

作る → コンテンツ生成AI

実行する → AIエージェント

というように、仕事の内容によって適したAIは変わります。

そのため、新しいAIツールを見つけたときも、

「このAIはすごい?」

ではなく、

「自分のどの仕事に使える?」

と考えるほうが、実際の業務には取り入れやすいと思います。

仕事で使えるAIをもう少し探してみる

今回紹介したカテゴリー以外にも、仕事で使えるAIツールはかなり増えています。

SotaTek Japanでは、生成AI、AI検索、会議、翻訳、資料作成、AIエージェントなどから、仕事で活用できるAIツール10選をまとめています。

実際のツールを比較したい場合はこちらも参考になります。

👉 仕事で使えるAIツール10選|業務効率化に役立つ生成AI・AIエージェント

AIツールを片っ端から試すより、まず自分の仕事を「書く・調べる・会議する・伝える・作る・実行する」に分解してみる。

そこからAIを選ぶと、自分に必要なツールも見つけやすくなりそうです。

レガシーシステムは本当に刷新すべき?判断するために見ておきたい7つのポイント

長年使っている基幹システムがあると、「そろそろシステムを刷新したほうがいいのでは?」と考えることがあります。

ただ、システムが古いという理由だけで、すぐに全面刷新するのは簡単ではありません。

移行には大きなコストがかかりますし、業務への影響も無視できません。
一方で、古いシステムを使い続けることで、保守コストやセキュリティ、DX推進などの面で問題が大きくなるケースもあります。

そこで重要になるのが、「現在のシステムがどの程度リスクを抱えているのか」を客観的に確認することです。

今回は、レガシーシステムを評価するときに確認しておきたいポイントを整理してみました。

1. 保守コストが増えていないか

以前と比べて、システムの保守や改修にかかる費用が増えていないでしょうか。

特に、

  • 小さな改修でも多くの工数が必要

  • 障害対応のコストが増えている

  • 古い技術を扱える人材の確保が難しい

といった状態なら注意が必要です。

単純な年間保守費だけでなく、システムを維持するために社内でどれだけの時間と人員を使っているかも見ておきたいところです。

2. システムが属人化していないか

「このシステムのことは○○さんしか分からない」という状態も、レガシー化を判断する重要なサインです。

ドキュメントが不足していたり、仕様が担当者の経験に依存していたりすると、異動や退職によって突然システムの維持が難しくなる可能性があります。

3. EOLを迎えている製品がないか

OS、データベース、ミドルウェアなどに、サポート終了済み、または終了予定の製品がないか確認することも重要です。

EOL製品を使い続けることは、セキュリティだけでなく、障害発生時のサポートにも影響する可能性があります。

4. 新しいシステムと連携できるか

クラウドサービスやSaaS、AIなどを導入しようとしたとき、既存システムとの連携が大きな壁になることがあります。

APIが用意されていない、データ形式が古い、手作業でデータを受け渡している、といった状態が続いているなら、既存システムがDXのボトルネックになっているかもしれません。

5. 障害からの復旧に時間がかからないか

障害が発生したとき、

「原因を特定するまでに時間がかかる」
「詳しい担当者がいないと対応できない」
「影響範囲がすぐに分からない」

という状況になっていないでしょうか。

障害対応に時間がかかる場合、システムの複雑化やブラックボックス化が進んでいる可能性があります。

6. 新しい機能を追加しにくくなっていないか

新しいサービスや業務に対応したいのに、

「既存システムへの影響が大きいので変更できない」

ということが頻繁に起きている場合も要注意です。

システムが事業の変化についていけなくなっているのであれば、単なる「古さ」ではなく、ビジネス上の制約として考える必要があります。

7. セキュリティを維持できているか

最後に、セキュリティ対策が継続的に行える状態かを確認します。

古いOSやミドルウェアを使っている、パッチ適用が難しい、認証方式が古いなどの問題があれば、優先度を上げて対応する必要があります。

「古い=すぐ刷新」ではない

7つのポイントを確認すると、レガシーシステムの問題が少し見えやすくなります。

ただし、いくつ該当したからといって、必ず全面刷新が必要になるわけではありません。

例えば、問題が一部の機能や連携部分に限られているのであれば、部分的な刷新やAPI連携の追加で解決できる場合もあります。

逆に、EOL、セキュリティ、属人化、保守コストなど複数の問題が重なっている場合は、より本格的なモダナイゼーションを検討する必要があるでしょう。

つまり重要なのは、

「システムが何年使われているか」ではなく、「現在のシステムが事業にどのようなリスクや制約を与えているか」

ということだと思います。

まずは現状を把握する

レガシーシステムの刷新を検討するなら、いきなり「全面移行」を決めるのではなく、まず現状を評価することから始めるのが現実的です。

保守継続、部分刷新、モダナイゼーション、クラウド移行、全面リプレイスなど、状況に応じて選択肢を比較することで、必要以上のコストやリスクを避けられます。

レガシーシステムの診断項目や、診断後にどのような対応を選択すべきかについては、こちらの記事でも詳しく整理されています。

👉  レガシーシステム診断とは?刷新が必要か判断する7つのチェックポイント

「古いから刷新する」のではなく、自社にとって本当に必要な対応は何なのかを見極めることが、レガシーシステム問題への第一歩になりそうです。

レガシーシステムに生成AIを導入するとき、最初に考えたいこと

生成AIを業務で活用したいと考えたとき、意外と大きな壁になるのが既存のレガシーシステムです。

長年使われている基幹システムでは、APIが整備されていなかったり、データが複数のシステムに分散していたり、仕様を把握している担当者が限られていたりします。

そのため、

「AIを導入するなら、まず基幹システムを刷新する必要があるのでは?」

と考えてしまいがちです。

ただ、生成AIの活用だけを目的に考えるのであれば、必ずしも全面刷新から始める必要はありません。

レガシーシステムと生成AIはどうつなぐ?

既存システムと生成AIを組み合わせる方法はいくつかあります。

1. APIで既存システムとAIを連携する

APIが利用できる場合は、既存のERPやCRMなどから必要なデータを取得し、生成AIで要約・分析するといった使い方ができます。

例えば、

  • 顧客情報の要約

  • 問い合わせ内容の分類

  • レポート作成

  • 業務データの分析

などです。

既存システムそのものを変更するのではなく、その外側にAIの機能を追加するイメージです。

2. RAGで既存のナレッジを活用する

レガシーシステムを利用している企業では、システムだけでなく大量のドキュメントも蓄積されています。

業務マニュアル、設計書、FAQ、過去のトラブル記録などです。

これらの情報をRAGと組み合わせることで、社内の情報を検索しながら生成AIに回答させることができます。

この方法であれば、基幹システムを直接変更せずにAI活用を始められるケースもあります。

3. AIエージェントから複数システムを利用する

最近は、単に質問に回答するだけではなく、AIエージェントを使って複数の業務を自動化する方法も注目されています。

例えば、

ユーザー
   ↓
AIエージェント
   ├── ERP
   ├── CRM
   ├── 社内データ
   └── 業務API

という構成にすれば、AIエージェントが必要な情報を複数のシステムから取得し、回答やレポートを生成するといった仕組みも考えられます。

もちろん、実際の導入では権限管理やログ管理、データの品質なども考慮する必要があります。

APIがない場合はどうする?

ここがレガシーシステム特有の難しいところです。

古いシステムでは、そもそも外部連携を前提としていないことがあります。

その場合、無理にAIを直接接続するのではなく、

  • データ連携基盤を追加する

  • 必要なデータだけ抽出する

  • RAGで既存ドキュメントを活用する

  • AIを保守・運用支援に限定して利用する

など、システムの状態に応じて導入方法を変える必要があります。

つまり、すべてのケースに同じAIアーキテクチャを適用するのではなく、既存環境を調査してから連携方法を決めることが重要です。

「AI導入」と「システム刷新」は分けて考えてもいい

個人的には、ここが一番重要なポイントだと思います。

レガシーシステムを抱えている企業が、

「AIを導入したい」
↓
「でもシステムが古い」
↓
「だから全面刷新が必要」
↓
「コストも期間も大きい」
↓
「AI導入をいったん保留」

という流れになってしまうのは、少しもったいないと感じます。

例えば、まず社内FAQやナレッジ検索など、小さなユースケースからAIを導入する。

そこで効果を確認したうえで、対象業務を広げる。

さらに、その過程で明らかになったシステム上の課題を、将来的なモダナイゼーション計画に反映する。

このような段階的な進め方も選択肢になります。

最初に見るべきなのは「システム」より「業務」

生成AIの導入を検討するとき、つい「このシステムにAIを接続できるか?」から考えてしまいます。

しかし、先に考えるべきなのは、

「AIによって、どの業務を改善したいのか?」

ではないでしょうか。

例えば、

  • 社内問い合わせに時間がかかっている

  • 過去の資料を探すのに時間がかかる

  • ベテラン社員の知識が属人化している

  • レポート作成に多くの時間がかかる

  • レガシーコードの保守が難しくなっている

といった課題があれば、それぞれに適したAI活用方法があります。

AIを導入すること自体を目的にするのではなく、業務課題から逆算して技術を選ぶ方が、結果的に導入しやすくなると思います。

まとめ

レガシーシステムがあるからといって、生成AIの導入を諦める必要はありません。

API連携、RAG、AIエージェント、ドキュメント解析など、既存システムを活かしながらAIを導入する方法はいくつかあります。

もちろん、システムの老朽化が深刻な場合には、モダナイゼーションや全面刷新が必要になるケースもあります。

重要なのは、

「AIを導入するためにシステムを全部変える」

と最初から決めるのではなく、

「今あるシステムを活かして、どこからAIを導入できるか」

を検討することです。

SotaTek Japanでは、レガシーシステムの現状分析から、生成AI・RAG・AIエージェントの導入、システムモダナイゼーションまで、既存環境に合わせたAI活用を支援しています。

より具体的な導入パターンや、実際の進め方についてはこちらの記事に整理されています。

 

👉 レガシーシステムでも生成AIは導入できる?既存システムを活かしたAI活用の進め方

AI開発ではどのプログラミング言語を選ぶべき?用途別に考える8つの選択肢

AI開発では「Pythonを使えばよい」と考えられることもあります。しかし、実際のシステム開発では、AIモデルの開発だけでなく、推論処理、既存システムとの連携、Webアプリケーションへの組み込みなど、さまざまな要件を考慮する必要があります。

そのため、プログラミング言語もプロジェクトの目的に合わせて選択することが重要です。

AI開発で重要な3つの判断ポイント

1. 開発するAIの種類

機械学習や生成AIのモデル開発では、Pythonが有力な選択肢です。

一方、画像処理やロボティクスなどリアルタイム性が求められるシステムでは、C++が適している場合があります。

Webブラウザ上でAI機能を動かしたい場合は、JavaScriptも候補になります。

2. 既存システムとの連携

企業のAI開発では、AIモデルだけを新しく作るとは限りません。

既存の業務システムやデータ基盤とAIを連携させる場合、Javaなど既存環境との親和性も重要になります。

例えば、

既存のJavaシステム + PythonによるAIモデル

という構成も考えられます。

3. 本番環境での性能

PoCではPythonで問題なく動作していても、本番環境では処理速度やリソース使用量が課題になることがあります。

その場合、処理負荷の高い部分をC++などで最適化したり、APIやバックエンドを別の言語で構築したりする方法があります。

用途別に見るプログラミング言語

AI開発で検討される代表的な言語には、以下があります。

言語 主な用途
Python 機械学習・生成AI・プロトタイピング
R 統計分析・データサイエンス
Java エンタープライズAI
C++ リアルタイムAI・ロボティクス
JavaScript Web AI・ブラウザ上のAI
Julia 科学技術計算・AI研究
Prolog ルールベースAI・論理推論
Lisp 記号処理・AI研究

ここで重要なのは、「AIならPython」という単純な判断ではなく、システム全体を考えて言語を選ぶことです。

1つの言語に限定する必要はない

実際のAIシステムでは、複数のプログラミング言語を組み合わせるケースもあります。

例えば、

  • Python:AIモデル開発
  • C++:高速な推論処理
  • Java / Go:API・バックエンド
  • JavaScript:Webインターフェース

というように、それぞれの得意分野を活用できます。

特に企業向けAIでは、AIモデルの性能だけでなく、既存システムとの連携、セキュリティ、運用、将来的な拡張性まで含めて技術を選択することが重要です。

AI開発で利用される8つのプログラミング言語について、特徴やフレームワーク、適した用途をさらに詳しく比較した記事はこちらです。

👉 【2026年版】AI開発向けプログラミング言語8選

SotaTek Japanでは、企業向けAIシステム開発、AIエージェント、AI音声翻訳、AI VisionなどのAIソリューションを提供しています。

👉 SotaTek JapanのAIソリューション